ロープや紐、風呂敷を結ぶ時、ちゃんと結んだつもりでもいつの間にか緩んでしまう。そんな時に大切なのが結び方。結ぶのなんて簡単!と思って、ちゃんと教わってないんです。ほとんどの人が知らない基本の結び方、本結びってご存知ですか?知ってる方も、本結びって覚えたつもりですぐに忘れて、どうだっけ?になりませんか?普段紐やロープや風呂敷を結ぶ時、新聞紙や本を束ねて、紐でくくる時に、やってる結び方の正しいものが本結び。
本結びを教える方、「くるっクルッとやって、パァッ!」なマニュアルでは伝わらないです。覚えられないんです。
ここでは『本結び』の結び方と伝え方を学びます。
YouTube版もあります!
こちらで解説していることを、映像で紹介。YouTube版もわかりやすく説明しています。是非、見てくださいね
全く別物、本結びと縦結び
同じように見える二つの結び方なのですが、結び終わりの紐の方向が違います。本結びは、結び目の紐が仲よく並んで平行になってます。縦結びは名前の通り、紐がクロスして、縦になります。結びが解けてしまうという方は、大抵、縦結びになってしまってるのです。
本結びはとても強くて解けにくいのに、コツさえ知って入れば簡単に解けます。逆に、縦結びは結び目は固いけど、知らぬ間に緩んで解ける…。意図して解こうとすると、ほどき難いという、箸にも棒にもかからない結び方です(そんなわけで馬・鹿結びという呼び名もある)。
忘れてしまう本結び
子供の頃にボーイスカウト等できちんと教えてもらった人は、忘れないと思うのですが、大人になって、たまに使うときに、「あれ?どっちだっけ?」、「まっいいか!結べたから…」という人が多いのが、多いのがこの結び方なのです。
本結びのやり方だけを見たい方は、こちらから『本結びのレシピ』へ飛んでくださいね。
本結びの結び方を調べると、とってもたくさんの人たちが、ウェブや動画で解説しています。実は基本のキなのに、それほど覚えるのが難しい面がある結び方なのです。その原因は教え方にあるのです。本結びに限ったことではありません。いつもやることなら、そのうち体が覚えるから、いいかもしれませんが、たまにしかやらないことを伝えるのには、マニュアル化というのは不向きなのです。
文章で体験は伝わらない
本結びのできる人は、当たり前のように、自然に手が動きます。その動きを参考にマニュアルを作る人が多いので、千差万別、人によって違う本結びの教え方になってしまってるようです。それぞれのわたしのやり方は、夫婦であっても伝わらないのです。
ある人のやり方(わたし)
- 両手に紐を持つ
- 左手の紐を上に乗せ、右手の紐を下から上にひと回し絡めます。
- それぞれの紐をつまみます。
- 右手の紐を上から通して左手の紐に絡めて、輪っかに通します。
- 両手の紐を左右に引っ張ります。
わたしの手順はこうなるのです。これ、正しいようですけど、手順2を逆にして結ぶ人もいます。手順3を左手主体で書くこともできます。人によって、同じ動作なのに文章が違ってくるのです。
文章(アニュアル)は体験にならない
我が家の奥さまにこれで教えたとき、しばらく経って、次に何かを結ぶときには忘れてました。体験を文章にすることはできても、文章を体験として記憶するのは、とても難しく、また体験した人によって、解説も変わります。社員やバイトを即戦力として養成するときマニュアルはとても効果的ですが、それは、文章を読んだあと、なんども反復練習をする機会や実践があるから、文章は消えても、体が覚えてくれるからなのです。体験者に再度文章化してもらうと、かなり違う文章になります。
「なぜ?どうして…」を伝える!
体験は文章で伝えきれませんが、理論、構造、理屈は言葉で伝えられます。
まず「なぜ」本結びでないといけないのかを伝えます。脳は理屈を覚えるのはとても得意です。なぜ本結びは強いのか、なぜ縦結びは弱いのか、まずそこを伝えることがとても大切なのです。これ、意外と文章化できるんですよ。
本結びは緩まない
本結びは緩まないから、物を結ぶとき、本結びにすべきなのです。このあとの記事で紹介する予定の「あずま袋」(映像はすでにアップしてます。見てくださいん)。コンビニから帰ってる途中で、持ち手が緩んでほどけたら、せっかく買った美味しいパンがワンコのウンチの上に!なんて被害を頭に描くと、絶対解けては困るものですよね。だから、映像の中で本結びでと解説しています。
本結びは「どうして」緩まないのか
「なぜ?」の次は「どうして」が大切です。これが分かれば、脳は簡単に理屈を覚えてくれます。本結びは[結び方マニュアル]を忘れても、理屈が思い出せれば、確認しつつ結べるぐらいのことなのです。人ができることの多くは、そんなものの積み重ねです。
冒頭で「本結び、『結び目の紐は並んで平行に』」と書いてます。結び目の輪から伸びる2本の紐が仲よく並んで平行になってるから、本結びは強いのです。結び目で平行に並んだ紐の片方が引かれると、摩擦で同じ方向に残りの紐も引っ張られます。そのため、引く力によって結び目が締まっていくのです(ただし、紐の摩擦抵抗を引く力が増すと、解けるそうです。ご注意ください)。
縦結びは「どうして」緩むのか
縦結びが「どうして」緩むのか…。縦結びで結んだ紐やロープに荷重がかかると、本結びと同様に、結び目に力がかかりますが、引く力は紐が接してないので、力が伝わらないため、紐を引く力で結び目は締まりますが、紐自体はスルスル滑って緩んでくるのです。
覚えるのは『結び目の紐は並んで平行に』だけ!
長々書いてきましたが、本結びの結び方で覚えなければならないのは5つもの手順(マニュアル)ではなく、たった一つ『結び目の紐は並んで平行に』ってことだけです。結んだあと紐が十字になりそうだったら、それは間違ってます。2回目のくるっが逆なんです。そこを反対に回せば良いだけです。これなら、間違えそうになっても直せるから、忘れないんです。
これだけ書くだけだと、文章短すぎるから、『本結び』から導く解説書考察。マニュアルで体験は伝わらない…。なんて副題をつけて、色々書いてみました。本当の理屈は簡単に伝わります。
職人が教えないわけ
ついでなので、昔の職人さんが「見て覚えろ」と言ったわけも、こう言ったところからだと思います。言葉で体験を伝えても、伝えきれないことが多いのです。どうしても人は自分の体験を言葉にして伝えますが、それは親方ごとの個別体験であって、手順(マニュアル)では本質が伝わらないからでしょう。「なぜ?どうして」と深く考え、弟子に伝えるほど、職人も、親方も暇ではなかったのです(今も忙しい人多いから、見て覚えろ派も多いのかも)。
いま、伝統的な技を伝えていく料理人や大工の親方の多くは弟子を教えている方が多いです。多分、教えることを第一に、自ら探求、模索されているからこそ、お弟子さんたちに伝わっているのだと思います。「なぜ?どうして」こうするのかを伝えているのだと思います。
我が家の解説映像も、もう少し手直しして、ちゃんと伝えなきゃと反省しております。
本結びの結び方
Equipment
- 紐、ロープ、布端
Instructions
本結びの結び目の紐は並んで平行に
結び方
- くるっと紐を絡めます。輪にしてもう一度くるっ!
- 紐が写真のように輪の上下に出てたら、失敗です。
- ひとつほどいて逆巻きに…。輪から出た紐が仲よく並んで平行ならOKです。
左右にぎゅっと紐を引っ張れば、本結び
- 引っ張ると、ギューと締まります。