同じ思いの出会い
林さんにとっても、私たちの問い合わせは面白いタイミングだったようだ。ちょうど数日前、大工の棟梁や左官の親方と、これからは手の届く価格のものも造って裾野を広げて行く必要性を話していた矢先に主人からの問い合わせメールが来た、とのこと。若い世代や普通の労働者がちょっと頑張って手の届く範囲の家造りをして、幅広い人々に良さを共感してもらわないといけないと考えていたそうです。
我が家がちょうど、自分の家造りも社会や自然の環境の循環に影響していて、大切な伝統や自然を守る家を7桁しかない所得の世帯の我が家も頑張って作ろう!と考えていたのと、思いが一致していたのである。普通の暮らしの人々が普通にこうした家を手に入れる事が、これからの日本や世界にとても大切なのだ。
なかなか、良い感じだぞ。前に進んでいけば、いいな。
「今までやったことのない価格のものなので難しいと思いますが、考えてみます。まずは候補の土地を探してみてください。いっしょに見に行きます。」と彼女は言ってくれた。ここまで時間をかけてきたのだから、多少は時間がかかっても私たちが探し求めていた家を造ってもらいたい、と思えた建築家は初めてかもしれない。
家を買おう!と思い、色々検討をはじめて、家を建てよう!に変わり、かれこれ2年になった頃であった。
うまく進んで行きますように、という願いをこめて。
「また、後日ご返事します。」
と、事務所をあとにした。顔を見れば、本当はふたりとも彼女に頼もうと決心していたのがお互い手に取るように分かっていたのだが、何事にもちゃんとお互いの気持ちを確認してから、話し合ってから返事をしようという我が家のスタイルに従ったのである。もしかすると林さん、冷やかしか!と思ったかもしれない……。ややこしい奴らで申し訳ない。
ただ、この初めての出会いの日、この打ち合わせの中のいくつかの出来事が彼女を信頼したきっかけだったのは間違いない。そして、頼んでよかったなと、住み始めてそろそろ半年の今日、実感している。凝り性の旦那は我が家の庭も林さんのご両親の庭に負けないものにしたいと意気込んでいる。
次回も引き続き建築士に依頼して家づくりをすることについて、お話します。
自然菜園についての記事「年に2回も咲いてくれてお得!あこがれの十月桜を植えました!」にも、伝統構法と土壁の家のことについて少し書いています。