防火仕様でプラスターボードのキッチン壁

【伝統建築現場レポート】防火仕様のキッチンの壁 2014年9月2日


環境に優しくない石膏ボード

なぜ石膏ボードがいやなのかというと、石膏ボードは埋め立てたり、燃やしたりできない産業廃棄物なのです。もし、埋め立てて地下水につかると、硫化水素を発生させる場合があり、これまでも何度も事故を引き起こしているのです。現在はリサイクルで、新しい石膏ボードを作ることが出来るようになっているらしいのですが、使わなくても家が造れない訳ではないので、使いたくないのです。

施工に便利で省力化できる重宝な石膏ボード

使うと壁作りが簡単なので、中小から大手までほとんどの建売住宅や注文住宅ではこの石膏ボードを使って壁を作り、壁紙をボンドで張り付けてます。あっという間にきれいな大壁の部屋が出来上がっていきます。しかしこれが集成材や構造用合板とあわせて、木造建築物の廃棄やリサイクルを難しくしている原因です。集成材や構造用合板は合成物質であるボンドを使っているので、燃やすことも埋め立てることも出来ない素材なのです。

簡単に施工できるというのは、逆に言えば大工の腕がなくても施工できるので、こればかりになると若いお弟子さんたちの為にならないのです。施主は良い物には金を出すって姿勢が必要なんです。そのかわり、不要な物には、この家お金かけてません。キッチンが出来るとよく分かります。後ほどレポートします。

キッチンの荒壁です。この上に石膏ボードを張って仕上げます。もしキッチンで火災が発生しても、二階に燃え広がったりすることが無いようにする為なのですが、ほんとは使いたくないのです。ほんとはここにも中塗りして漆喰壁にしたいのですが、石膏ボードを張り、その上に漆喰で仕上げます。天井も同じです。
杉板と違って、ピーとカッターで簡単に切れる石膏ボード。「杉板と違って簡単だねぇ!」と聞くと、「ほんとそうなんです。でも、石膏ボード嫌いなんです。カンタン過ぎて面白くないんです。」と良治さん。「偉い!」。
石膏ボードの作業でも手を抜かないで面取り。丁寧に張っていきます。ちゃっちゃと脹れるので、一面どんど終わっていきます。杉板張りの壁は一日に一面位だったのが、キッチンの壁は半日位で張り終わってるみたい。経済性優先の現場ではこちらを使う訳ですね。

張ってくれてる写真使って、愚痴言って良治さんにはちょっと申し訳ないレポートですね。でも共感してくれてる大工さんたちで良かった。

土壁を大壁にして、厚い漆喰を塗るとか、いろいろな所で研究・実験がすすめられています。いつか自然素材だけで家を造れるようになると良いですね。でも天井どうするんだろ?素人には全然思いつかないや!今度誰かに聞いてみよ!

良治さんが棟梁になる頃には、良いアイデアで頑張ってね!

次にアップするのは「散歩で見かけた薪のお風呂屋」です。建築レポートではないのですが、この記事に関連している話なので、そちらをアップします。