胴縁張りと壁板切り。分業で外壁が進んで行きます

【伝統建築現場レポート】外壁の下地工事[胴縁張りと壁板準備] 2014年6月11日


壁板の前準備

現場に行くと、良治さんが家の中で何やら大量の板と格闘中。私たちが数日前まで塗っていた外壁用の壁板を図面を元に張る場所のサイズに合わせて切断していました。

外壁に張られる板、一枚一枚を寸法に合わせて切断してます。これまで何日間か一生懸命塗ってきた長い板をどんどん切っていくので、なんか寂しい感じが……。ものに愛着感じて感情移入してしまいやすい施主です。
短い板と長い板、なんでセットにしてるんだろ?って聞こうかな?って思ったけど、おやつの時間でいろんな話しをしてて、食べようと思った黒豆せんべいと一緒に忘れてしまいました。ここに乗ってるのがその黒豆せんべい。
良治さんに端材を一枚もらって、切り口を写してみました。壁板の断面です。うっすら真ん中の下辺りに、保護剤の膜ができています。そりがでないように板の裏側には溝が入ってます。

胴縁張り

外断熱の通気層を作ってます。透湿防水シートと板壁の間の空気層が外壁の外気温と日射で暖められ、壁の中の環境を整えるそうです。土壁と外断熱の相乗効果でとても優れた住宅性能を持っている建物が出来上がっていきます。

ちょうどこのレポートを書いている日、工事現場でゲリラ豪雨に遭遇。家内は一階にいて外を見ていて、すごい雨って気付いて愛犬のまるを玄関から中に入れてやったぐらいなのですが、2階で工事を撮影していて、わたしは外の雨がそんなに酷いことに気がつかなかったのです。LOW-Eガラスと土壁の防音性能の高さを実感できました。すごい性能です。

帰り道、ゲリラ豪雨のあとを虹が囲んでいるのを見て、なんだか幸せな気分になりました。

透湿防水シートの上に張られた胴縁。この胴縁にも保護剤を塗布してあります。断熱材に含まれた湿気は通気層に吐き出されますが、結露した水滴などは内側に入りません。屋内の環境を一定に保ちます。
シートと土壁の間にはこの断熱材が張られています。ペットボトルを再生したペット樹脂で作られていて、口にする製品なので毒性等も無く、仮に燃えても有毒ガスを出しません。くさる物質ではないですが安全な製品です。
吸気口の周りもコーキング剤でしっかり防水。通気層と断熱材の間はしっかりと塞がれます。乾いたらパイプの継ぎ目もテープでとめます。
家の中では良治さんが壁板の準備、家の外では棟梁が胴縁を張り、通気層をつくっています。一本一本長さを測って張っていきます。透湿防水シートの継ぎ目を押える役目もしています。
胴縁を張る前の東面。せっかく乾いた土壁が塗れないかと心配でしたが、これで大丈夫。あとは胴縁と板壁を張ると外壁の完成です。
テストがてら、最初に張られた壁板3枚。想像してたより遥かに素敵です。普通は3mの板材が一般的だそうですが、2階の軒と妻壁下まで届く5mの板材を下から上まで通して張っているので、途中に継ぎ目がありません。窓がある箇所等では板が上下に分かれてますが、分かれていても、上下には同じ板を切断して張っているので、窓で分かれていてもつながりがきちんとしています。そのために3mの短い板も用意されていました。窓の所もつながった一本の板が張ってあって、窓があとからくりぬかれたみたいです。棟梁曰く、ほんとに窓あとから入れられたら、張るの楽かも……。
こうして胴縁の上に壁板が張られて行きます。一枚ずつ張っていくので、1面3〜4日かかるそうです。次回、とても手間がかかる様子をレポートします。
板の片側は凸に、反対側は凹に加工されていて、前の板の凸の部分に次の板の凹の部分を挟んでいきます。胴縁に木工用ボンドでとめたあと、表に出ないように隠しくぎを打って板を止めていきます。一枚一枚とても手間のかかる作業です。本実接ぎというそうです。

とても手間のかかる板張り作業は次回レポートします。