木と土と竹の家、伝統建築の家を建てる理由
こういった経緯から、私たちが学んだ、もう一つの理由をお話しします。いまの日本の森には膨大な量の木々が家になる大きさまで育っているのに、木材として利用されずにいます。それどころか放置された杉や檜の単一林が荒廃し、森が荒れ果てているのが現状なのです。枝打ちがきちんとされなければ、節の多いひょろひょろの木になり、価値が下がります。
また保水力を失うため、山に降った雨をためる力が弱くなる。その結果、毎夏にどこかで起こるのが山崩れ、鉄砲水、土砂崩れ、大水害なのです。それなのに価格が安いというだけで日本の気候に合わない外国の木を大量に輸入、加工した木材で今の日本の多くの住宅が建てられています。
日本で育った木は日本の気候が合い、そこに住む菌や気候にも強い。しかし外国で育った木は気候に合わない。だからシロアリに弱く、それを補うために薬品が使われ、その影響でアトピーや化学物質過敏症も多発している。
弱い木だから住宅の寿命が短くなり、森が荒れて命の危険を感じた杉や檜は次の命を育てようと花粉を大量に空に放ち花粉症が蔓延しているのです。日本の森はこのように多くの問題を抱えているのです。
地球の8割の原生林は人間が破壊した
森が抱える問題はこれだけではありません。
その住宅用途と合わせて、私たちが普段使っているコピー用紙などの日常的に使われているさまざまな紙のためにも熱帯雨林の天然林が伐採され、ある場所はそのまま放置、よくても単一種の経済林として生物多様性のほとんどない森の変えられているのです。その事は『暮らしの中で出来る環境保護』でも少し触れさせてもらっています。
ある研究では有史以来、人間が破壊した原生林は人類が文明を築く以前の8割に及ぶと考えられるそうです。もちろん、その後植樹した森もありますが、多くは生物多様性が失われ、希少生物が失われていっているのです。
それは近い将来私たち人類をも破滅に向かわせるスピードを持ってきていると考えられます。日本を含めある地域では森が放置され、荒れ果て、他の地域では森自体を破壊。この現状を今こそ変えなければならないのです。
小さなことですが、一つの提案は、私たちが住宅用の木材に日本の無垢材を使うと、日本と海外の森を守る事が出来るということです。そう考え、少し頑張って(というより木材の費用じたいは国産にしてもそんなにはベラボーには上がらないようです)、身近にある国産無垢材を使う事にしました。
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