あさりおん

【第一話】とっても短い小さな川と『キッチンまんまる』

とても短い小さな川

 そのあたりにすむひとさんするときがいいまだれわすれてしまって、くるまちかくをとおっても誰もづかないはばはちけんほどの小さな川。今ではほとんど水もながれていないこの川は、この川より大きな二つの川のお母さん。江戸のしょうぐんさまが二つの川をつくとき、せきめられて短くて小さな川になったんだって。

将軍さまが水をせき止めたためにりょうがんむらみずあらそまいとし毎年大おおさわぎ。将軍さまのだいおわわり、大きなせんそうが終わって川のまわりにたくさんのいえつようになって、水争いはくなったけど、いつのまにか小さな川はみんなからわすられてしまったんだってさ。

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 そんな小さな川のほとりに、とっても小さなりょうきょうしつがオープン。「なんでそんな忘れ去られた小さな川のほとりに料理教室を作ったの?」って。知りたい?

だって小さな川のきしむかしのまんま。ぜんていぼうの上にくぬぎしいなど大小様々だいしょうさまざまがおおいかぶさってとってももちちよくて、みどりっぱのしたちゃいろつちの上をちょろちょろかけけっこするのが僕大好きなんだもん。

僕のことを大切にしてくれるこのおうちのお父さんとお母さん、この小さな川と岸辺のもりたとたん、このほとりに家を建てることにしたんだって。僕がよろこぶからかなぁ?


  • 【幅八けん】古くからある日本の家を造るときの単位が間。畳一枚の長い辺が基準です。 一間は約1.8m、つまり川の幅は約15mです。伝統的に日本の家を建てるとき柱と柱の間は一間を基準に考えます。

古民家の星さん

 かわぎしゆうどうをおさんしてると、いちだんみどりい森に入ります。森の中には昔のおひゃくしょうさんの家のような大きな古い家、お父さんとお母さんはこの家を『ほしさんの家』って呼んでます。小さな川の岸辺にあったんぼやはたけでお米やさいを作っていたしょうさんの家とめつけています。

だって、大きなもんまえの畑でおばあちゃんが今もお野菜を作ってるからって、お父さん。お父さんはおもみで勝手かってはんだんするけいこうがあるようですが、まぁだいたいっているようなので僕はお父さんのことをちょっとそんけいしています。

この間も僕がなんも散歩のちゅういたら、白いあわを見て「おなかすきぎてえきがでてるのかも。おいもあげたららくになるよ」ってお母さんに。そしたらホントに僕はげんになったんだ。お父さんの思い込みはけっこうあたるでしょ。だから星さんの家はきっと大庄屋さんだったんだと思うよ。今度おばあちゃんに聞いてみようかなってお父さん。らないひとこえかけるのにがなくせにぃ!

 星さんの家はとっても古い家のようです。お父さんはけんかくしょうばいさんの家みたいだって、川のそばだし、森にかこまれてるし、昔はふなもあったかもって、また勝手に思い込んでます。星さんや小兵衛さんの家のように、料理教室の小さい家は「みんみたいに作るぞぉ!」ってお父さんが言ってた。

二十二世紀にじゅうにせいきみんけんちくプロジェクト

 だからいえづくりはけんちくの林さんにおねがいしたんだって……。ぼくさん大好き!おうちそうだんのとき、遊んでって言ったら、いつもやさしくなでなでしてくれるもん!でもさぁ、新しいうちなのになんで古民家なの?って僕は思います。

みなさんだってへんだって思うでしょ。古い民家なんてさ!でもお父さん、「二十二世紀にはこの家も古民家になる!たいせつだれかがいでみたいって家にするんだぁ!」って。それで、この家はたけつちで家をつくったらしいよ。

むかしのおうちみたいに……。だいとうりょうさんがおさんたちと木をきざんではしらてて、いて、家を建ててくれたんだって。他にもたくさんの人にてつってもらって、つちかべの家にしたんだってさ。まいあみみっていうのをみんなでんで、かべつちったんだって。

 僕、このうちも大好き!新しい古民家のお家の小さなキッチン。お母さんは何の料理しようかワクワクしてるんだって。今までしつのおうちだったり、ビルの中のおうちだったから、たいようと風にお願いする料理が出来なかったから、『かぜごと』するのが楽しみなんだって。

 『風仕事』ってのは、しいたけしたり、うめを干してうめし作ったり、お魚のものも作ったりするんだって。僕、お魚も大好きぃ!美味しいの作ってしいなぁ。でもはじめて作るからこれからべんきょうするんだって。風仕事うまくいくといいね……。


  • 基本、このお話しはフィクションです。実在する登場人物は、お仕事やお考えを紹介したくて創造上の人物としてお名前をお借りしています。今回登場の林美樹さんはストゥディオ・プラナという建築事務所の代表です。二十二世紀には古民家になるはずの家をたくさん設計されています。 『くさる家に住む』というご本の著者のお一人でもあります。

『キッチンまんまる』

 おいしい料理はだいなんだって。お母さんはそれを伝えたくて料理教室をはじめたんだ。前に行ってたきょうかいで子どもたちがごはんすこししかべないので、お母さんなんだかかわいそうにおもったんだって。それでお父さんとそうだんして、おさいしいスープのをとってカレーを作ったり、シチューを作ったり、きちんとおった料理をおひるに出したんだって。

するとね、子どもたちがたくさんご飯を食べてくれるようになって、お母さんとってもうれしくなったんだって。それで前のお家で子どものための料理教室を始めることにしたんだって。かつおぶしこんできちんと出汁をとることから子どもたちとけんきゅう。子どもたちはほんものわかかることにおどいたんだってさ。

 らいげつからここでも料理教室スタートするってさ!さいしょはやっぱりみんなの好きなシチュー?本物はホワイトソースから作るんだよね。いよいよ、とっても短くて小さな川、そのほとりの料理教室『キッチンまんまる』がはじまります。どんな料理がでてくるか楽しみですね。お母さん。がんって!子どもたち来てくれるといいね!

 あ、『まんまる』は僕の名前から付けられました。『まる』です。よろしくね!


  • 子どもの舌は敏感で、丁寧な材料で作った美味しいものは一杯お代わりしてくれます。それを伝えたくて始めたキッチンまんまるですが、現在は休止中。もっと広く伝えたくて、YouTube あさりおんチャンネルでレシピ映像を公開しています。お母さんたちに見てもらいたい、基本的でわかりやすいレシピを公開中です。
次回【第二話】  まるとおじいさんと十匹のネコ

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