とても短い小さな川
その辺りにすむ人が散歩するとき以外、今は誰も忘れてしまって、車で近くを通っても誰も気づかない幅八間※ほどの小さな川。今ではほとんど水も流れていないこの川は、この川より大きな二つの川のお母さん。江戸の将軍さまが二つの川を造る時、せき止められて短くて小さな川になったんだって。
将軍さまが水をせき止めたために両岸の村は水争いで毎年毎年大騒ぎ。将軍さまの時代が終わり、大きな戦争が終わって川の周りにたくさんの家が建つようになって、水争いは無くなったけど、いつのまにか小さな川はみんなから忘れ去られてしまったんだってさ。
そんな小さな川のほとりに、とっても小さな料理教室がオープン。「なんでそんな忘れ去られた小さな川のほとりに料理教室を作ったの?」って。知りたい?
だって小さな川の岸辺は昔のまんま。自然堤防の上に櫟や椎など大小様々な木々がおおいかぶさってとっても気持ちよくて、緑の葉っぱの下の茶色い土の上をちょろちょろ駆けっこするのが僕大好きなんだもん。
僕のことを大切にしてくれるこのお家のお父さんとお母さん、この小さな川と岸辺の森を見たとたん、このほとりに家を建てることにしたんだって。僕が喜ぶからかなぁ?
- 【幅八間】古くからある日本の家を造るときの単位が間。畳一枚の長い辺が基準です。 一間は約1.8m、つまり川の幅は約15mです。伝統的に日本の家を建てるとき柱と柱の間は一間を基準に考えます。
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